|
『新年を迎えて』 |
去年は11月21日、まっ白い銀世界の朝を迎えました。11月の降雪はちょっと珍しく、この先年末にかけて心配しておりましたが大事に至らず、年末および新年の初詣はどこも多くの参拝者で盛況だったようです。それには昨年から厭というほどテレビや新聞で不況を煽られ、何とかそれを避けて良い年にして欲しいとの願いがあったからではないでしょうか。
私もその一人で31日、元日といつもの神社にお参りいたしました。
お正月の休日はいつもなら4日から仕事始めなのですが、今年は4日が日曜日のため、1日儲けの5日からとなりましたが、さてその成果はいかがだったでしょう。
今年はどんな年になるのでしょうか。解雇された派遣社員の年越しのために、食事や住まいのお世話でボランテアや役所の人達が働いておられる様をテレビで見て、まるで外国の難民キャンプの様子と同じに見え、堪らなくなりました。
今回の不況は100年に1度とか言われており、その結果の解雇で企業側としても派遣または契約社員としても予測は出来なかったことに違いないでしょう。
しかし期間を決められた雇用関係ならば(契約期間前の解雇もあったようだが)このような時が来るのは承知の筈とも思われますが、これまでの景気の状況などから仕事は続けて行けるものと思っておられたとしても、無理のないことと思います。
大分前のことですが、日本の会社員、労働者の自分の勤務している会社を想う心『愛社精神』が他の東南アジア諸国と比べると極端に低下している、との記事を見た記憶があります。
日本の伝統的な終身雇用がどちらからかは分かりません、会社側、或いは働く社員双方からかも知れませんが欧米型といえる割り切った雇用関係に近づいてきた結果ではないでしょうか。それが派遣という形の社員が生まれた一つの要因にもなっているかも知れません。
私たちの町も地場産業が芽生え活況を呈していた頃がありました。
日本全体が追いつき追い越せ、とみんな貧しく一生懸命に働いていた頃、年1回旅気分を味わっての温泉一泊旅行に日数を数えて楽しみに待っていたあの頃を懐かしく思い出します。
そこに社長も社員の区別もありません。みんな一緒に飲み、食い、遊んだことでした。
そして来年はどこへ連れてってもらえるだろう、とか他の会社はどこへ行くの?
時代が進み2泊3日、海外旅行、そこまで来ても参加者は減少、会社内の社員同士の交流の場が少なくなってきたように聞いております。そんな所へ行くのなら休暇が欲しい。
まだこちらで派遣社員という言葉すら聞けない頃、ある工場で見慣れぬ作業者が手際よく仕事をしている様をみて工程担当者に尋ねました。「1か月前から来てもらっているが派遣社員なんだよ」私は彼に「貴方なら喜んで正社員に迎えてくれると思うが」彼の返事は意外、
「正社員ならこの会社へは来ません。私は嫌です」何が、どうして? |
樋山忠明 |
|
|
|
|