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『平成21年盛夏』 |
今年の夏は梅雨明けの声も聞けないでお盆を向かえてしまいました。
昨年来の世界同時不況の波は世界に誇る日本のトップ企業をはじめ、地場産業もすべての地域、企業に大きな影響をもたらしています。
そこへ輪を掛けるように襲ってきた自然の脅威、大雨、集中豪雨、洪水、河川の氾濫、山地くずれなど。更に直接の大きな被害は無かったにしても、台風、地震の潜在的恐怖。
せめてこんな時にはやさしい自然のありかたで向かえてほしかった。でも、この願いは身勝手な注文ということに。
先日お世話になっている人から電話があり、某社の部長さんが会社を勇退されるよし、仕事上で関わりのある、また知ってる仲間同士で部長さんを招いて送別会というか、感謝会のような事をやりたいと思うが。とのお話でした。
日程も場所もすぐに決まり、ひと風呂浴びて5人の大宴会が始りました。
勤続42年とは、当社の創業と同じ年に入社されたことになります。入社されて間もなく私としては勿論初めての、当時としては結構大きな商売をさせて頂きました。
メーカーもバックアップよろしくサンプルの作成やら、技術担当社員を訪問させる等で助勢してくれました。甲斐あって厳しい価格でしたが受注いたしました。
「あの時はその溶接機の採用で本当に儲かった。溶接機の分くらいはすぐにでちゃったんですよ。工程短縮で相当数の人員削減ができて、おかげ様で自分の立場も上がって行ったということなんですよ」
その後も時代の流れでステンレス製品の隆盛時代が続き、いろんな製品を受注され、その都度溶接工程があれば相談を受け、専用機も結構作らせて頂きました。
今は仕事の内容が変わったこともあり、当時の機械は一切みることはできませんが、私の脳裏には製造ラインで活躍していた当時の様子がいつも見えだせるのです。
注文も厳しかったけれど、良くやってきたなぁ。そんな感慨がふと浮かびました。
確かにステンレスを中心とした地場産業の発展が町を支えてきました。洋食器から器物、雑貨と。洋食器と並んで器物関係も輸出で賑わった今思えば華やかな時代。
その地場産業の衰退で縮小し、地場産業と言えるのかどうか。時代の推移を感じさせられます。
ご勇退とは言っても私より○歳も若い。私の悪いくせ、というより歳がそうさせるのでしょうが羨ましいとすぐに思ってしまい、口にだして言ってしまうのです。
「人生生涯現役」とか。そうそう何が辛いって人間やることが無くなったら本当に辛いよ、って誰かが言っていましたが、苦しい現在の状況からは逃げ出すわけにもいかず、やること、やらねばならぬことは一杯あるという現実を喜ぶべきか? |
樋山忠明 |
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