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| 『チリ落盤の救出劇に思う』 |
チリのサンホセ鉱山に落盤事故で閉じ込められていた作業員、33名全員が発生から約2カ月半の今月13日（日本時間14日）救出されました。
この快挙は全世界で報道され感激と喜び、そして人間の信念の強さを教えてくれました。
昔から、鉱山、炭鉱といえば何か事故が起こりそうな感じを払しょくできない所との意識がありました。現実に日本でも今は全て閉山しているのでしょうが、炭鉱事故のニュースはその昔よく聞いたように思います。その度に安全性がどうとか、監理体性がどうのと云われていたようで、私には暗い印象しかありません。
そういえば今また佐渡金山あとがユネスコの世界遺産登録の国内暫定リストに載ったとか。
1989年鉱量枯渇により閉山となるまで、380余年にわたって金、銅を採掘してきたあの山も如何ほどの作業者、作業関係者が事故で命を亡くされて来たことか。
世界遺産との言葉は神々しい程の重みを感じますが、自然現象や屋外の構造物と違い、地下の、それも構築を目的としたものではなく鉱物採取のために結果として残されたものには事故による犠牲者が必ず、それも古くから生成されたものについてはさらに多くの犠牲が強いられていた筈です。その血と汗の結晶が遺産ということでしょうか。
それにしても今回のチリの鉱山の落盤事故は地下700m弱の所であり、しかも確認用のドリルを入れたことも、その位置も、メモを巻き付けた知恵も、引き上げてそのメモを確認したことも。そして全員無事であることが確認できたことも奇跡に近いことではなかったでしょうか。
そして生存が分かって救出作業に掛ったとはいえ、2ヶ月半の間30人もの精神異常になりかねない人々をまとめて、食事をはじめ規律を守らせ最後にカプセルで救出されたルイス・ウルスアさんの存在は大きい。また地下に居るうちに愛児の誕生あり、地上へ上がって別れあり、さまざまな人間模様がニュースにもなっています。
更に救出作業員には各国のメデアが取材インタビューの申し込みが殺到し、その謝礼金の相場が5000ドル（41万円）といわれ、「拝金主義が祝福ムードに水をさしかねない」というような懸念がでているとか。普通の人が経験することのない、貴重な体験をお聞きするのだから金を払う価値もあるかも知れません。でもちょっと私たちにはなじめないことですね。
この事故に対しては、世界各国から何らかの援助が向けられたと思いますが、日本からも地中と地上を結ぶ映像システムやオーデオプレーヤー、ゲーム機などをソニーが、消臭下着はグンゼ、宇宙航空研究開発機構からはレトルト食品などの宇宙食他が提供されたそうです。
大挙をなした、この後始末はいくらのお金で解決するのやら、人ごとながら気になります。
結果として世界中を歓喜の渦に巻き込んでくれましたが、一方で小規模で危険の伴いそうな鉱山が世界各地にあるとのこと。今回の事故でそれらが見直されることになり、閉鉱せねばならなくなって、働く場所を失ったりして生活苦に見舞われる人達が出てくるのではないでしょうか。そして資源の供給にも何らかの影響が心配されます。 |
| 樋山忠明 |
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