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| 『新しき年を向えて』 |
年末からそうだったけれど、明けてからも今年に期待もてそうな話題が全く無いと言って良いように感じられます。政局の混迷のせいなのか、それとは関係なくこれまでの不況がさらに激しくなったというべきことなのか、いずれにせよあまりめでたくも無い新年、そんな感じがいたします。
年始の挨拶にお出でになったメーカー、商社のお話にもそのような雰囲気が感じられました。尤も年々12月、新年という意識が仕事上では特に感じられなくなってきております。
31日、晦日の集金の忙しさは今思えば50年前のことになっていました。雪が降って寒いのに手分けをして集金に繰り出し、これで終わったと思っていたら「集金に来て下さい」電話。車時代ではありませんから、徒歩、または自転車を引きずって走りまわります。
早ければ7時、8時。遅い時は9時頃会社を辞することもありました。
どうしてこの月だけこんなに忙しいことになるの？いつもの月と同じにしておいて良いじゃないの。「借金をしたままで年は越せない」盆暮勘定の昔の名残が続いていたのではないでしょうか。
そして新年の2日は「買い初（そめ）」といって店は開きます。
私はその2日の出来事で、今も時々思い出しては懐かしんでいることがあります。
始業はいつもより遅く10時ではなかったかと思いますが、11時過ぎ、電話が入りました。お世話になっているおそば屋さんからです。麺打ち機が動かないとのこと。この機械がうごかないとそば（ラーメン）が出来ない。支給来て欲しい。工具を持って直ぐに行きました。
ヒューズが切れていました。原因はともかくヒューズを取り替えて暫く様子を見ておりました。機械は軽快に動いており、異常は認められませんでした。「いやーありがとう」
店へ行っておかみさんに報告したら、「ありがとうね、これ食べてってよ。気持ちだから」「えっ、今日はお餅を食って来たから満腹なんですよ」
「若いもんが、そば一杯くらい食えなくてどうするの、さぁ食ってって」
美味しいのはわかります。いつもならば願ってもないこと。しかし‐‐‐。おかみさんはにこにこして見て居られるし。「戴きます」そして帰りがけに「ごちそう様でした」
「正月早々に修理で呼んだりして、ありがとうね。今年も頼みますよ」」
昨日メールが入りました。「○日にそちらへお伺いしたいのですが如何でしょう。宜しかったらホテルも予約入れていただけませんか」
東京の取引先の方で商売的には売ったり買ったりお互い様という感じですが、プライベートなお付き合いというか、お互いいろいろなことで話し合う、そんな関係で一緒に酒を飲んで泊ったりという間柄でした。今の仕事のことで壁にぶつかっていたことも、他の会社から誘いが掛かってきて悩み、決断し辞表を出しても受け取って貰えず困っておりましたが、要やっと今月限りということで退職が決まりました。今の会社に居れば2年後には定年退職となりますが、今度の会社は規模は小さいけれど60歳過ぎても働けるし、自分の力を充分発揮できる会社と聞いております。一杯飲って祝福してやろうと思っています。 |
| 樋山忠明 |
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