|
『懐かしき友の郷へ』 |
あれ?久しぶりのメール、なんだろう?
7月の4週にそちらへ行きたいが、新しい機械のPRを頼まれているので、とのこと。
早速電話をして懐かしいというか,いつもの調子で話がはずみます。
「でもね、良い機械はわかるけど一緒にPRで訪問するにふさわしい、って言うか聞いてくれるお客さんなんて心当たりがありませんよ」
「実はね、行くのは私一人なんですよ。メーカーの彼も来たいとは言うのですが私が止めました。私が説明しますから後でもし詳しく聞きたいというようなお客様が居られたらいつでも出られるようにはなっております」
「じゃ業界の今のお話などを聞かせて頂けるわけだ。まぁ積もる話もあるしね」
そして新幹線の改札で彼を向えました。会社勤めを辞めたことでもあり、暑いせいもあってのことでしょうがこれまでとは違ったくつろぎスタイルで、それでも会社時代同様の鞄を持って改札から出ていらっしゃいました。
「やぁご苦労さま」「こんにちは、暑いね、何所へ行っても」駐車場へ向いながら「景気はいかがですか、聞くだけ野暮かな。地震以来どこもそうだもんね」
依頼された機械の説明はカタログを広げながら、さすがに詳しいところまで良くご存じでした。一応一通りの説明が終わると、一緒に仕事をしていた仲間のことになり、以前にお世話になった方々のその後の消息などに、一喜一憂しながら懐かしく思い出しておりました。
みんな歳をとって悠々自適の生活を、あの当時の営業課長は焼き物に凝っていて、先日のOB回にぐい飲みを持ってきてみんなに配っていたとか、へぃあの人が?
自分は今,町の公民館の世話人と言うか、来場者の案内や分からない人の質問に答えたり、
「雑用掛かりですよ。1日交代で土曜日曜も必ず交代で土曜になったり、日曜になったりで出なければならないんです。お出でになる人は皆市民でありお客様なんですね。勤めてみて始めて分かった事ですが、お前らは俺達の税金で食ってんじゃないか、なんてあからさまに言う人も時々居られましてね、私はこんな人間でしょ、にこにこしながら、みなさんのおかげですって返すんですよ。そうすると黙っていらっしゃいますけどね」
ざる蕎麦をお昼に食べて「ところで今日は帰るの?」お酒の好きな彼のこと、------
「今日は帰らないけどね、ここではなく海辺の町へ泊ることにして宿予約してあるんですよ。
海岸線を走るドン行に乗って、時間も調べてありますのでその時間までに駅へ降ろしてください。
その町には勿論始めてだけれど、一度は来たかったのです。自分が学校を卒業して始めて入社した会社で、とても可愛いはきはきした現業の女性がいまして、私は所属が技術だったものですから時々見回りに行くんですよ。そこで親しくなっちゃって彼女のアパートまで行き、男にしてもらったんです。
その時彼女は結婚しておりまして、出稼ぎに来ていたんですね。その子といいましても今は80歳に近いのかな。その港町から来ていたんです。性も覚えています。結婚していたから変わらないでしょう。会えるなんて思ってもいませんがちょっと懐かしくなっちゃって来て見たくなったんです」 |
M、N |
|
|
|
|