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【年寄りの北陸ボヤキ旅行2】 |
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山代温泉は温泉地特有の風情あるところかと思っていたら、とんでもない街中の大きなビルディングのホテルだった。住人くらい居られただろうか。仲居さんや、身を正した男性等に迎えられて照れくさい感じ。更に小さなバッグまで「お持ちします。」と取り上げられて、あぁそうか、俺は客なんだ、と気が付いた。
入り組んだ廊下を通ってエレベーターまで、売店の女性も忙しそうに行きかう人たちも「いらっしゃいませ」と声をかけてくれる。
部屋へ通されて仲居さんから、館内の説明を聞き、直ぐに部屋中を眺め回す。九谷焼の大きなすり鉢のような露天風呂が竹垣に囲まれて、湯が溢れていた。
最初は大浴場だ。さすが湯量豊富な温泉はデラックスだ。露天風呂まで大きい。
自分は酒はあまり体に合わないが、甥っ子は疲れもあったろうが、一人で結構飲んでいる。係りの中年のおばさんが話相手になってくれ、楽しい時間が過ごせた。「山代は男性天国で強要されると聞いていたが」と問うたら、「今ではお客様の方から要望があったらお世話させて頂きますが、私たちからお勧めするようなことは宿の方で禁じられております」自分にそんな元気がある筈はないが、あることはあるんだ。食事所でゆっくり夕食をとり、土産など買う気もなかったが売店を眺めて部屋へ帰る。
翌朝は九谷焼の露天風呂でゆっくりと曇っている天を眺め「雨よ降るな」と願う。
会計をすませて見送られ車の方へ行きかけたら、今朝も朝食の世話をしてくれた、昨日からの仲居さんが小走りできてくれた。嬉しかった。鄭重にお礼をのべて「又くるからね」
那谷寺、湯のくにの森と寄って、金沢は雨になった。
「兼六園はよらずに、黒部のトロッコまで走るよ」甥っ子に注文しておいた所だ。
宇奈月の温泉へ着いたらちょっと寒かったが雨は小降りになっていた。時間も心配だったが、終点までいってもしょうがないからと、途中の鐘吊り温泉ですぐに下りのトロッコで折り返すことにした。
小雨は降っていたがトロッコの両側の山々や川の流れも煙るほどでもなく眺められた。そして今宵、宇奈月温泉の宿へと向かう。
宇奈月の温泉街もさほど広いとも思わなかったが、宿へ着いてさらに驚いてしまった。
一番奥のそれも一軒家だ。昨日の宿とは建物も小さく両極端である。
ほんのちょっと太め、愛嬌のあるかわいい女の子。でも歳は30を越しているだろうと思われる仲居さんに部屋に案内される。
「このホテルは唯一トロッコの見える宿なんですよ」部屋の奥の広緑の窓いっぱいに下を見れば、黒部川、正面には対岸の山、左手にトロッコの鉄橋があり下りのトロッコが見えた。
「お客様のお乗りになるトロッコの時間が分かると、みんなで手を振ってお見送りするんです。時間がわかれば手を振って大声張り上げてお見送りしたのに、残念でしたよね」
そして食うことだ。「ここは富山だから”ほたるいか”は夕食に付くよね」
「さぁそれはちょっと厨房へ聞いてみないと何ともいえませんが・・・」
「この時期に富山まできて名物食わずに帰られないよ」と自分が言うと
「とにかく一人前たっぷり別料金でいいから頼むよ」と甥っ子がまくし立てる。
大浴場の露天風呂からトロッコが来ないかとつまらない期待をしながら対岸をながめている。さすがに夕食の”ほたるいか”は旨かった。二人前はあった筈だが、甥っ子はちっとも箸をつけようとせず、仕方なくみんな自分が食ってしまった。それからが大変だった。
上越の出身で今三味線を習っているというから、じゃ一緒に歌でも歌おうと甥っ子が言う。夕食の始末も終わって9時過ぎに部屋へ迎えにきた。
客のいないカラオケホールで二人で飲んで歌って楽しそうだこと。
”都々逸”の一つや二つはやってもいいが、観客がたりないし居ても理解できるかな?
ウーロン茶ばかりすすっていても”懐かしのメロディー”もいいかげんに飽きてくる。
「おい、明日がある寝よう」 つづく |
寄稿 H.H |
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