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| 【来年はどんなシャバになるっていうの？】 |
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年の暮を迎えて何というお年玉をくれるのだろう。
100年に一度の世界同時不況なんて、政治家も各メデアも連日平気で言いのけている。
そうだ、彼ら自身にはさほどの影響もないから言えるのだ。本当はこんなに怖い、恐ろしいこと口に出せない筈ではなかろうか。
長いこと続いてきた日本の「年功序列型雇用体系」を古いものとし、これからは実力主義の時代である、といわれ「男女雇用機会均等法」の施行等、雇用の状況もかわってきた。
定職をあえてと言ってよいだろう持たないフリーターの出現。これには組織で縛られるのがいやでやっている、とか、いろんな仕事を経験して最終的に自分の適業をみつけたいとか聞いていた。冬の農閑期には田舎から都会工業地帯へ「出稼ぎ」という働き方もあった。
日に日に報道される、日本が世界に誇る、大企業の「人員整理」の実態。整理人員の単位が「ホント」目も耳も疑いたくなる、数百人、数千、万人単位の発表も出てきた。その言葉の影に何の憐れみも悔悛の情も感じられない。そうか、こんな事態をも考慮して正社員の採用を控えてきたのか。
「派遣社員」言葉の受ける感じは新鮮に聞こえ、良さそうな感じさえ受ける。しかしこれこそ恐ろしい企業側サイドにたった「緩衝人材」にほかならない。
必要なとき、必要なだけ働いて頂く。正社員であれば掛る経費も将来の保障も考えねばならぬ。正社員の道は狭くそこで働き口を求めて仕方なく派遣社員に登録せざるを得なくなる。
27歳、若い。東北から上京し三畳一間のアパートを住まいとし、専門学校をフリーターをしながら卒業した。しかし就職先は見つからない。学校へ行かなくて良いので時間ができる。そこで別な仕事を探す。食わねばならぬ。そして就職情報誌を片っ端から目を通し、もしや、ことによったら、望みを持って履歴書を送ったり直接出向いたりするがお断りの言葉を聞くばかり。
ある日フリーターで知り合った仲間と二人で、居酒屋で一杯飲みながら出た結論「派遣会社へ行ってみるか」
それが縁というものか、東京をちょっと外れた造成された工業団地の一角にある会社、私の職場へ来てくれた。会社が借りきったアパートの1室も付けて。
私の息子と年が近いせいか、指示されたことをせっせとやりこなす彼に好感をもって話しかけたりしていた。家は兼業農家で兄が両親と暮らしている。自分は帰っても働けるような会社、工場も無い。専門学校といっても自分の能力でコンピューター関連では食える給料をもらうことは難しいとわかったという。
彼もここならばと思って来たのだろうが、日本の主幹産業である自動車業界が、こともあろうにその大メーカーから人員削減を発表してしまった。
このような場合、最初はいつも「派遣社員」からくる。突然のことだけれど、その通告に対して何もいえない。
それでも彼は真剣に働いている。残念ながら私は彼を慰めてやる言葉も知らない。いつまで続く不況か分からないし、会社にどれほどの富があるのか、あるいは負債の方が多いのか自分には知る由もないが、仕事も住まいも取り上げられていったいどうしろというのだろう。
自分のことは自分で探せ。あとは国に良いようにして下さいということか。
「派遣社員」の次のリストラは他ならぬ「わが身」かも知れないのだ。あぁ寒い。 |
| 特別寄稿 R.S |
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