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【東京ビッグサイトにて】 |
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ちょっと気にはなっていたが、どうしても行きたいとも思えなかったので、事前登録もしなかったし。相棒が「行くならいつでも運転してやるよ」とは言ってくれていたけれど。
誰も居ない会社へ来てふとまた思い出してしまった。ちょっと調べものもしたかったし、と書類やファイルをまとめたら、そうだ彼は「隣の席で眠っていてもいいよ。運転は任せておきなさい」と、言っていたことを思い出した。車の中でやっちゃおう!
我ながら勝手な奴だと思いながら間違いなくまだ寝ている筈の彼に電話する。
「あぁいいよすぐ行く」今日は彼の休日だったのだ。やがて来てくれた彼に
「今日一日不都合になることはないの?」「何もなし、心配しないで OK」
資料を詰め込んだ袋を持って助手席へ乗る。まだ早朝の部、でも営業車は結構走っていた。
「今日は休日でもないから高速料金も1000円にならないし、そんなに混むこともないでしょう。10時にはビッグサイトへ入れますよ」トラックの長距離もバイトで乗ったこともあるとか言っていたが、さすがに運転はうまい。スピードを出しているけど特別違和感はない。
時々後方を振り返るものだから、「心配しないで良いって、後ろもきちっと見ていますから」
乗ってしばらくは話の相手でもしてやらねば悪い。途中のサービスエリアで軽く朝食をとって、よしこんどこそ!と思ってはみたが話は尽きずとうとう外環状へ出てしまった。
もうだめだ。話が合うってこういうことか。どちらからともなく、何の話と決まっているわけでもなく話し込んでいたということだ。ナビがもう古いということだろうが、ちょっと案内がおかしくなった。しかし目的地は知っているから方向はわかる。ナビを無視して走っているとやがて正常に案内してくれる。
ビッグサイトへ着いたら駐車場はどこも満車、ちょっと離れた青空駐車場を教えてもらう。
いつもの展示会風景、歩いている人達の向かうところは同じ。招待券も無く、事前登録もしてなかったものだから、当日券売り場で一人1000円払わねばならない。それを見て、
「あぁ入場券ありますよ。仲間の来るのを待っているんだけどまだ来ないし、私も約束があってもう入らなきゃならないんですよ。2枚ですねどうぞ」
「それはご親切にありがとうございます」と言って受け取ったら
「800円で2枚だから1600円下さいよ」なんだこいつ、と、つっかいそうかと瞬間思ったが、きちんとネクタイをしている中年男のそわそわした動作がつい面白くなって、2000円出したら400円の釣り銭を出してそそくさと立ち去った。必要事項を書き込んで受付を終えて入場しようとしてちょっと振り返ったら、離れたところから当日券売り場の方へ眼をやっている熱心な彼がいた。帰りの車の中での話もしばらくはそのことばかり。
「今日だけか、昨日もおったのか知らんがいくら稼いだろうか。入場券は出展者から結構もらえるし、それが数社あれば相当の枚数になってどこでも余る筈、10枚で8000円、20枚で16000円、丸儲けそれも短時間で」他人の商魂?たくましさにあきれて、羨ましくて、そして自分には到底できないあの勇気ある行動、おそれいりました。 |
T.H |
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