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【古書市の楽しみ】 |
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4月に入って例年通りの桜は咲いて、そして散ってしまった。
それなのに冬へ逆もどり、東京に雪が舞った。今年は変だ。
今年はデパートご難の年になるとか。その昔地方に住む者には、たまの休日に電車、否デーぜルカーに乗って百貨店で一日過ごしてくることが、一つの楽しみであった。
勿論今のようにデパ地下スーパーなど無かった時代である。何でもあって明るくて見て回るだけで楽しく時間の経過も忘れてしまう。子供連れの親たちは屋上の遊戯施設でともに遊び、お昼には大きな食堂で各々が美味しそうなメニューをみてどれにしようかと迷っている。休日のお昼は食堂へ入るのに、よく待たされたものだった。そんな時代が懐かしい。
2月のある日曜日、閉店の日も決まった地方といっても中堅都市のデパートで「古書市」をやるという。積んどく、買っとくの本道楽の自分には、一度も行ったことの無いデパートでもあったので、暇にまかせていくことにした。自動ドアーが開いて吸い込まれた店内は結構な賑わいであった。
狭い、低い、暗い、瞬間的に感じた。ウエンドーに挟まれた通路が狭い。
エレベーターで「古書市」会場へゆく。
古書市は分かればなるべく時間を作って行くようにはしている。その度に地方の出版社や新聞社の、常に目に触れることのないようなものに巡り合える楽しさがたまらないのだ。
そしてつい買い込んで「置き場所もないのに」「どうせ見ることも無いんでしょ」と嫌味を聞くことになってしまう。
順に見ていく。全集もの、連作もの、地方の出版物、単行本。
今までどこの会場でも見たことのないものを見つけた。
昭和57年に発刊された林房雄著「西郷隆盛」没後100年の記念出版で、布張り表紙で布張りケースに11巻入っている。定価35,000と書いてあった。さほどの傷みもなく積んどくには場所はとっても見て豪華。
西郷隆盛は「敬天愛人」の色紙もあり、他に数冊の本もあるので多少の知識はあった。しかしこれ程の大作は初めてのことで、読めるかな?それとも。と考えてみたが価格も安いと思ったので買ってしまった。
ちなみに「西郷隆盛」に関する書籍を調べてみたら、既に品切れも取り交ぜて300冊余も出ている。さすがに人気は継続していることが伺える。
また、遺徳を偲んで顕彰会や勉強会等の組織が鹿児島を始め東京、他由来の地にあるという。
挑戦した。以外に面白い。読むことが義務感ではなしに楽しみにさえなってきた。それはテレビで「坂の上の雲」とか大河ドラマの「龍馬伝」のせいで、馴染みの登場人物もおったからかもしれぬ。
「幕末」の一大叙事詩ともいうべきか。登場人物の多彩なること、そしてそれらの関わり方など。
維新後のどさくさ劇。征韓論では武力行使は考えていなかったけれど、反対派に押し切られ自分の為すことは終わったとばかりに故郷へ帰る。若き私学校徒が国政の乱れを憂いて蜂起せるに
「おれは挙兵と内乱を考えたことは一度もない。したがって、進発については、策も略も持ち合わせていない。‐‐‐‐しかしみんながその気なら、吉之助のからだは差し上げる。あとはおまえらのいいようにしてくれ」西郷隆盛の運命はこの一言できまった。
惜しまれて、惜しまれて、そしてその《こころ》は今も生き続けている。
時間がほしい。本当に限られた時間で2カ月で読みほした。 |
寄稿Y.U |
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