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【3人プラス1人】 |
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今年になって2回目だと思う。
「明日3人のメンバーが揃うので、久しぶりにいかがと思いまして」
毎月やっている3人会へのお誘いであった。以前も何回かお誘いを受けて参加させてもらった。いつものお決まりの店は繁華街をちょっと通り過ぎたと思しきところにある。照明は凝ったセ―ドに電球で少々暗め。仕切りがあって二人づつ差し向かいで周囲を気にすることもなくお話出来る雰囲気が良い。
取引先メーカー、代理店の気の合った仲間の毎月恒例の「居酒屋トーク」である。
もうみんな揃っていて自分を待っていてくれた。いつものように生ビールで乾杯。
お世話になった先輩でもあり、昔話を懐かしく話し合ったり、次に出てくるのは同僚、先輩の定年または定年後の消息など。人の生き方には色々ありというが、定年を前にして退社し新しい道、通常では考えられない仕事に着く人もいる。いつまでも、定年まで、こんな事していたら自分が本当にやりたいと思っている商売が出来なくなる。慌てて退社し、退職金と預金を叩いて、自分が一番やりたかったスタイルの居酒屋を開業した同僚も居ったとか。
同じ会社、同じ系列の会社の仲間同士は共通の人達の話題で花が咲く。
中に自分の知っている人のことになると、親しみを感じ、そして、それから、とつい急かして聞いてしまう。そこで、この前のメーカーの部会の時の話しをする。
「今年ね、早々にAさんでしょ。7月にはHさん、11月にはSさん、定年なんですよ。そこで私が提案したんですがその3人とも新潟に関わった方でもあり、自分達もお世話になった人達だから暮れにみんな呼んで、有志で「ご苦労会」でも「おめでとう会」でもやりませんか、と。そしたらね、それは結構なことだ、って賛成してくれたんです。そこでもう一つ提案が有るんだが、新潟に居られるOBにも声を掛けたいんだけど。これも賛成でした。
「HさんもOさんもその時は声を掛けますからね。」
「えっそれはありがたい。みんなに久しぶりに会えるなんて。是非やって下さい。声を掛けて下さい」
「ところで皆さんはもう本当に悠々自適ってとこですよね。私には羨ましきかぎりですよ」
「そんなことありませんよ。私は女房の看病で好きな事も、おちおち出来ませんよ」
「えっ好きな事ってなんですか?」
「会社に居った頃、と言っても若い頃の話ですが、ジャズクラブでドラムをやってましてね、また偶然仲間に巡り合いまして、勿論あの頃の仲間ではありませんよ。週に1回場所を借りてやってるんですが、あんなもんでも疲れるんですよ、歳を感じます」
「ドラムですか。私はピアノを習っています。自分の子供と同じ歳の先生に教えてもらっています」
「しかしピアノとは、ちょっと驚きですね」
「やはり、若いころからやりたいと思っていた事なんですよ。あのころころ弾むような音が何とも云えなかったんですね」
みんな元気だ。若いよ。生ビールがいつの間にか焼酎の水割りになっていた。つまみの皿も賑やかに並び、そこそこ出来上がったかと思われたころ、小さなお握りが出てきた。
これで今日は〆となる。
「えーと、2,500円だ」「はーい」4人でちょうどと言う所。流れる者は誰もいない。歩行者、自転車、バス、そして又来月を待つ。 |
寄稿K.O |
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