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【居酒屋で聞く政治談議】 |
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夕方の6時を回ると急がねばならない。
今日は週に一度の約束の日。
少々くらいの仕事は明日の朝にして、とにかくあの店へ行かねばならない。
雪の心配も無くなりこの時間でもまだ明るい。広い交差点の信号待ちにもいらいらしながら渡りきって今度は狭い路地へ入る。暖簾が見えてほっとする。
「いらっしゃい」
ママさんというよりばあちゃんと言った方が良かろうと思うが、みんながママさんと言う。
エル字型のカウンター席は先に来ている彼が私の席を取っておいてくれた以外は塞がっている。
「すまん。いつものことながら」
「俺も先ほど来たばかりだ。ママさんが二つ空けといてくれたんだ」
「ありがとうママ。お酒下さい、コップでね」
今日のメンバーは3人組、2人組各々2組づつでちょうど満席となった。
「忙しいかい」
「いつもと一緒。かけずり回っているけども、さっぱりだね。電話も結構くるんだけれど、モノになるのが無い。体は忙しく動き回ってるんだがね」
やがてどの席も酔いが回りはじめ話し声も、隣の他人などお構いなしに弾んでくる。
「ママさん」「ママさん」注文のおでんを器にとりながら「はーい何ですか」
「ママさん、今年は選挙があるよ。それもお盆迄の間にね」
「どうぞご勝手にってところよ。勝手にやっておくんなさい。私ら下々には関係ないわ。いや違った。選挙の年はお客さんが少なくて儲からないんだわ。本当なの。この前やったばかりでしょ」
「でもね、本当らしいって選挙好きな人が云ってたよ」
「しかし、短命内閣、投げ出し総理の連続じゃ日本の国も終いかな」
「それにしても地震国日本、本当だね。北海道から九州まで行っちゃったじゃないか。もうここは大丈夫なんて云い切れる所は日本には無いということだ。ということは、日本の原子力発電所はすべて地震と津波は“想定外”とは言えない環境にあるということになる。問題は大きいか小さいかの違いだけだ。それが今回の福島の例が仕様を決めてくれたようなもんだ。違うか?」
相棒はウンウンとうなずいている。それからビールを口へ注ぎ
「処で、この市内でもね、まだ原発賛成、反対などと云い合っている所が有るって聞いたぞ。原発騒ぎで土地を売ったり漁業補償やらで豪邸を建てた人も多いと聞くが、決局中止になった今では福島の例からして中止になって良かったと皆思っている、そう思うがね、どういうことだろう」
「それにしても俄か政府で人材が育たなかった事かも知らないが、勉強不足か大臣としての資質に欠ける奴が多いな、余程自分は偉いと思ってるのかね」
代弁してくれているようで、私も一言と思ったがこのまま聞いていたほうが面白い、と判断し
「ママさん、酒」
「党内派閥もあれじゃ大変だね」
「あれは派閥じゃないね。水と油の完全な二つの党だ。党内だけではなく、対外的にも自分の主張だけ述べて批判している形。国民を愚弄していますよ。そこまで節操のない集団なんかね。今度の選挙であれでは負けだね。ちょうど良いのじゃないか。前の政権与党も世襲制から足を洗ったようだし、人材としても優秀なメンバーを揃えているようだ。こうやって入れ代わりながらまともになって行くのかな。時間がかかりすぎるよな」
ある著名な評論家がテレビで小学生だったかな、その子等に話していたことを思いだした。
「この世の中におきる問題の正しい答えというのは、一つしか無いということはありえない。それを良く覚えておいてほしい」だったと思う。 |
寄稿K.K |
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