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【JR信越線から北陸線へ】 |
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突然の電話「そちらは雪で大変なようですね。今年はこちらへ来て下さい。雪もありますよ。そちらほどでもないけれど」
それは去年新潟でそれも2月、「雪見酒」と言って誘い、自分同様酒好きな彼が金沢から電車でやってきて、お土産のお菓子の袋をぶら下げて新潟駅の改札口へ現れた。私を見つけてほっとしたのかメガネの奥の目が喜びをあらわにしているのが分かった。
「ご苦労さまでした。電車は混みましたか」
「平日のせいでしょうか、ガラガラですよ」
とにかく駅前のホテルへ案内する。
「雪見酒がこの通り雪がないのですよ。でもいけますよね。今日は私も泊りますから思う存分やりましょう」
チェックインしてまだ時間は早いし、ホテルのロビーでお互い仕事の事や、家のことなどで話は尽きない。
冬の日暮れは早い。ちょっと早かったけどいつものお店で個室を予約して置いたので車を走らせた。
仲居さんが適当にお相手して下さり、和やかな間を過ごさせていただいた。
「今度はこれでいきましょう。常温で美味しいですよ。私の好きな内の1本です」
歳はとっても九州男児、本来は焼酎が良いのだろうが、それはこちらがギブアップと言うところで新潟の美味しいお酒にしてもらっている。
最後のスナックで若いホステスを相手に歌を歌って上機嫌で帰って来たのが昨日のことのように思えてならない。
彼の指定した日は土曜日だが、さて電車が出るかどうか。
乗客が少ないせいだろうと思われるが、とにかく運休が近頃頻繁におきる。
いったい除雪車なんか無いのだろうか。
いよいよ明日の出発とせまり、ともかく駅へ聞いてみる。
「乗車券は販売しておりますので途中で余程のことでもなければ大丈夫と思います」
もしダメなら新幹線で越後湯沢まで、そこで「はくたか」に乗り換えればちょっと時間はかかるかも知れないが確実に行ける筈。
当日の金沢行き特急「北越6号」はガラガラ。グリーン車に指定席車両も付いて全6両、これでは大変だ。
走って赤字なら運休した方が良いに決まっている。
でもそう簡単に決めてしまうわけには行かぬ。
公共交通機関である以上出発時乗客0であっても走らねばならない。
途中で待っているお客さんがきっと居られるだろうから。多い少ないは関係ない。
ガラガラの自由席でのんびり旅も良いものとゆったりと掛けて車窓の風景を眺めていた。
定刻の13時02分新潟駅を出た。
新津、加茂、東三条、長岡と進み「次の停車駅は柏崎です」車内放送があり、やがて冬の日本海を眺めて行ける、これもこの旅の楽しみの一つでもある。
長岡―柏崎間は26分である。やがて柏崎、と思っていたら急に列車が停止した。
「皆さま、お急ぎの処誠に申し訳ありませんが、除雪作業のため暫く停車いたします」
そして所要時間は30分という。事前にラッセル車とかの除雪車は走っていないのだろうか。
車内放送が30分を1時間に訂正し、しきりにお詫びの言葉を並べていたが、その時間になったら列車が動き出し「次は柏崎」とのアナウンス。
少し走って又停車「赤信号です」そして「ポイントが切り替わりませんので30分」凍結したのだろうか。
都合1時間30分の遅れのまま金沢へ着いた。
空いた車両で楽々休めたこともあってか静かな乗客ばかりだった。
途中で電話を入れておいたので、そのままホテルでチェックインして部屋へ入ったら、携帯が鳴った。
ホテルの玄関前で待っているという。すぐに降りて車の中の笑顔を見つけた。
「大変でしたね、富山までは雪はありますが金沢はこの通り少ないんです。
とにかくご苦労さまでした。あつ間がいいね」
車はいつもの彼の店へ向った。 |
寄稿K.K |
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