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『早朝の神社で』 |
晴れて今日も一日よい天気と思われる朝、私はふと思いついて車をその神社に向けて走りました。まだ6時前とあって車も歩いている人もまばらで10分ほどで駐車場へ着きました。
参道へ出ると白いあごひげの恰幅の良い老人とは言い難し男性が、地面に降り立っているカラスに向って何か話している様子。
「お早うございます」と私が声をかけたら立ち上がって「お早うございます」そして神社へ向かって歩いている私と並んで話しかけてこられました。
「早朝は気分が良いですね。特に木立の中は清々しくて心が洗われるって感じですね。毎日お参りですか。私は折角ですからこの弥彦山、角田山、国上山を時々登っているんですよ」
拝殿に着いてお参りをすませ、二人で戻りの道中、そうじゃないかな?と思っていたことが的中しました。作業服姿でいつもお会いしているのに、くつろいだ服装では確信が持てなかったのです。
「定年になりましてね、アパートの荷物は栃木の家の方へ送りました。今は引き継ぎで出社してますけど、悪いですね。仕事は週に2日分しか無いんです。週3日の出社で1日は掃除とペンキ塗りで時間を過ごしております。あなたの所から入れてもらったCo2の自動溶接機も週に2日の稼働なんですよ」去年作らせて頂いた自動機。その担当部長さんだったのです。
「今はアパートもはらいまして中古のキャンピングカーを買って、車の中で寝泊まりし、出社の日以外はドライブがてら、まぁまぁ“悠々自適”の生活ですよ」
単身赴任が何年続いたのか分かりませんが、家へ帰る前に新潟をよく見て、味わってということでしょうか。そして
「今経営者はどこも大変でしょうね」そこまで言われると羨ましさが倍になってしまいます。
今年のゴールデンウィークは会社によっていろいろで、長いところは12連休とか、不況の煽りで仕事も無いし、カレンダー以上の休日をとった所が多かったようです。
いつものことながら田植も終わり一面の青田が見渡せる田園風景です。退社の頃には毎度お馴染みの蛙の合唱で送りだしてくれます。
今年はNHKの大河ドラマで「天地人」が好評で、しかも越後の上杉謙信、景勝、それに今まではあまり目立たぬ存在だった智将直江兼続が活躍しているとあって、新潟の観光地や、所縁の名所旧跡はどこも賑わったようです。沿道にはのぼりや旗がひらめいて、案内標識やグッズも出そろい、「天地人」一色でのお向かいでした。
このブームはどうやら今年いっぱいは続くのではないかと言われています。
勿論新潟のみに限ったことではなく、福島県会津若松市、山形県米沢市とそれぞれに多くブームに乗って出版物もガイドブックまで沢山でております。この機会に自分もブームに乗って読んだり、歩いたり、見たりして楽しむことも、と思っております。 |
樋山忠明 |
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